遺産相続問題の相談は誰にするの?専門家の種類と適性を解説
遺産相続に際しては、たくさんの問題があります。たとえば、遺言書を作成する場合には内容や方法がわからないことがありますし、遺産分割をする場合に話合いがまとまらなくて困ることもあります。
不動産の相続手続きがわからなかったり、相続税の計算や申告の方法がわからなかったりすることもあるでしょう。
相続問題で悩んだら専門家に相談することが役に立ちますが、どのような専門家に何を聞けば良いのか迷うことが多いので、今回は、どの専門家に何を相談できるのかを解説します。
1.遺産分割に争いがある場合については弁護士に相談する
遺産分割トラブルの解決方法は、弁護士に相談することが有効です。
遺産分割協議がまとまらずにトラブルになっている場合には、弁護士に依頼する必要性が高いです。
弁護士には、遺産分割協議の代理人を依頼したり、遺産分割調停や審判の申立をしてもらって、手続をすすめたりすることによって遺産分割トラブルを解決することができるからです。
遺産分割協議や、遺産分割調停及び審判において、当事者に代わって交渉することができるのは弁護士に限られています。
2.不動産登記や遺言の問題は司法書士に相談する
遺産相続が起こったとき、遺産の内容に不動産があることが多いです。
こうした場合、不動産の相続登記が必要です。相続登記とは、不動産の名義書換(被相続人(亡くなった人)から相続人へ)の手続きのことです。
不動産登記は、自分ですることもできますが、手続きが煩雑でやり方が分からないと言うことも多いです。
司法書士は不動産登記の専門家なので、このような場合に相談して、登記の手続きを依頼することができます。
司法書士に依頼すれば、名義変更の際に必要な戸籍謄本や除籍謄本、改正原戸籍謄本などの収集手続きもすべて代行してすすめてくれるので、とても楽です。さらに、法務局への申請や登録事項証明書(権利証)の発行手続きまでしてくれるので依頼者は何もしなくても、スムーズに登記手続きを進めることができます。
また、遺言書を作成する場合には、遺言書を作成する方法が分からなかったり、遺言書の内容が決められなかったりして困ることがあります。
遺言書は、厳格に方式が決められているので、適切に作成しないと簡単に無効になってしまいます。
また、遺言書の内容についても、各法定相続人の遺留分への配慮がないと、死後に遺留分減殺請求が起こって、かえってトラブルになってしまうこともあります。
そこで、遺言書を作成する場合には、これらの法律的知識が豊富な司法書士や弁護士に相談すべきです。司法書士や弁護士であれば、遺留分の計算をして遺留分侵害が起こらないような適切な遺言内容を提案してくれますし、遺言書作成を手伝ってくれた司法書士や弁護士に遺言執行者への就任を依頼する事もできます。
遺言書の種類としては公正証書遺言が安全でおすすめですが、司法書士や弁護士であれば公証人役場への申込から遺言書作成の場面への立ち会いまで、各種の手続きを引き受けてくれるのでスムーズかつ確実に遺言書作成ができます。
なお、司法書士は遺言書作成や遺産分割協議書の作成は行うことができますが、遺産分割協議や調停の代理人はできません。
3.相続税の問題は税理士に相談する
相続の際、相続税の支払いが必要なケースがあります。
遺産総額が基礎控除より高い評価になると、遺産の額に応じた相続税が発生するからです。
このとき、自分で相続税を計算して相続税申告をすることもできますが、自分で計算すると、各種の減額の制度などを知らずに相続税を支払いすぎになってしまうおそれがあります。また、そもそもどのようにして不動産などの相続税評価をしたら良いのかや、どのように相続税の計算をすべきかがわからないこともあります。
そこで、相続税の申告の際には、税金の専門家である税理士に相談すべきです。
税理士に相談したら、面倒な相続税の計算をすべてしてくれますし、適用が受けられる相続税控除や減額の特例などを適用してくれて、相続税が安くなるように対処してくれます。
事業承継のための知恵を貸してくれる税理士もいますし、不動産を活用することによって相続税の節税方法をアドバイスしてくれる事務所もあります。
さらに、相続税節税のためには生前贈与を利用することが効果的ですが、税理士は贈与税についても詳しいので、各種の贈与税の特例を利用して節税する方法も教えてくれます。たとえば、ケースに応じて暦年贈与を利用して数年間にわたって無税で生前贈与を行ったり、相続時精算課税制度を利用して贈与税なしに生前贈与したりすることが可能になります。
以上のように、税理士は生前贈与による効果的な節税対策を教えてくれるので、将来の相続にそなえて、できるだけ早いうちに相続問題に強い税理士に相談しておくとよいでしょう。